千葉県柏市にあるテニストレーニングセンター(TTC)との交流はかれこれ20年以上になろう。TTCは正式には「吉田記念テニス研修センター」と言い、かなり以前から北信越テニス指導者へのセミナーを開いて頂いている。その創設者の吉田理事長が毎年のように北信越にいらしている中、同い年である前田顧問(初代会長)との親交から発展して、距離的には遠いにも関わらず、津幡からは柏TTCまで春のヴァン・ヴェール大会、柏TTCからは津幡まで夏のYOU遊市町村対抗とそれぞれのクラブ員が楽しむ団体戦に、これまで10年以上に渡って多くのメンバーが行き来をしてきたのである。
さて、今回は津幡からのTTC遠征の巻である。なぜそこまで交流が続いているのか、参加する度に感銘を受けて帰ってくる「ヴァン・ヴェール大会」の素晴らしさが伝わればと思う。
4/30(月)
長野市からアルプス絶景(4人はこの雄大な景色は見られず)
朝8:00前田さん宅に井原さん・中農さんが集まり、4人にて津幡を出発。途中長野から田中夫妻と12時前に横川SAで落ちあう予定がなんと上越JCTをまっすぐ通り過ぎて新潟方面に向かう痛恨のミス!(助手席のIさんは運転手Nさんに注意喚起していたらしいですが…)結局、埼玉県の上里SAにて落ち合うことになり、先に到着した田中夫婦はしっかりとフードコートでランチ、遅れた4人はGW大混雑のなか席確保を諦め、併設ベーカリーの調理パンにて足早にランチをする羽目に…。全員揃い、腹ごしらえをして「さぁ、あと1時間半ぐらいだね」と出発したら、今度は関越の事故渋滞に30分以上はまり、更に渋滞抜けた後に中農号は田中号と別れ、鶴ヶ島JCTから近年開通した圏央道経由で柏ICに行く新ルートにチャレンジ。しかし、そのチャレンジは無残にも失敗に終わり、田中号が10分ほど前に到着。最終的にTTC到着は15時頃予定が16時に…。TTCの皆さんには当日は朝から大会運営中でお忙しいところ、いつ到着するか分からないことになり、大変申し訳ありませんでした。
さて、そのTTCの大会というのはTTCに関係するコーチ・ジュニア・車いすを含む男女無差別のオールTTCトーナメントである、その名も「TTC Championships」。私たちが到着した時間はスタッフがそわそわし、そして大勢のギャラリーの熱気を感じたと思ったら、なんと国枝選手がダブルス決勝戦をメインコートで戦っているではありませんか!国枝選手と組んでいたペアは我が斉藤貴史プロと同世代のTTC出身の吉田元樹プロ。一般メンバー(要項には大きく「レベルを問わず」)もそのような選手やTTCコーチ陣と真剣勝負することも出来るし、観戦しても見応えあるクラブ全体が盛り上がるイベントを期せず体感できたのは幸運でした。津幡ではお楽しみ大会が多いのですが、時には各世代のジュニア卒業生たちも戻ってきて真剣勝負するような大会が出来たらおもしろいな~と感じた次第でありました。
さて初めてみる国枝選手の車いすからの豪快な片手バックハンドを15分ほど観戦させて頂き感動しつつも、私たちのためにお集まり頂いた12人のTTCメンバーの皆さんと16:30~2時間ほど交流テニスを楽しませて頂きました。
そして交流テニスが終了したら吉田理事長ご夫妻も囲んでの歓迎レセプションに。交流テニスの津幡側の第1位は前田顧問。TTC遠征時はいつも1位かも。今年も途中で自分が1位になっているので遠慮しようかと思ったらしいですが、コートでは相手に失礼のないように全力プレーとなる我らが御大でした。津幡でもご自身の育てたジュニアに対して自分の年齢を忘れてゲームになると自らが壁になっていますね。それがマイナス20歳以上のような驚異的に若々しい動きを続けられる原動力なのでしょう。津幡にとってはまさしく「生けるレジェンド」であります。
レセプション後の集合写真
レセプションの途中、吉田理事長より「津幡の皆さんはボランティアでジュニアから大人まで温かい大会運営をしていて素晴らしい協会。最近ではピヨピヨまでおやりになっているとか。是非40周年はお祝いを差し上げに参りたい。」という温かいご挨拶を頂戴いたしました。津幡からは前田顧問が代表として「私たちはTTCを模範にしたいとやってきて、ピヨピヨもその1つ。私も週5回ジュニアを教えて元気をもらってはいるが、この年ですので少し雨が降っていると休みたいなと思っても、子供たちから今日はありますよね?と聞かれるので、なかなか休めないぐらい(笑)。最近はピヨピヨから上がってきたジュニアも増えて、今ではボランティアコーチの人数が足りないぐらいの嬉しい悲鳴です。」「我が協会は今年40周年を迎え、是非吉田ご夫妻にお越し頂いて、30周年に続いてテニスメッセージをお願いしたいと思っています。今、40周年記念サイトを立ち上げて、これまでの歴史を載せようとしていますが、30周年の際の吉田ご夫妻の談話も文章におこして掲載しましたので、是非ご覧になって頂ければと思います。」と挨拶をさせて頂きました。
その後、昨年のYOU遊オープンに参加して頂いた黒野コーチのスライド報告があり(富田さん:昨年お越しになった方々から感謝感激の言葉をもらいまして、無念だった忍者寺を今年こそとのことでしたよ)、テニスに参加して頂いた皆さんやコーチと「40周年記念のYOU遊にも是非いらしてください、私たちもまたTTCにきますね」と親睦を深めてお開きとなったのでした。大会当日のテニスも楽しいですが、前日のこの交流の方が真の目的ですね。TTCの皆さん、今回も温かい歓迎をして頂きまして、まことにありがとうございました!!
5/1(火)
大会当日は「ヴァン・ヴェール(フランス語で緑の風)」という大会名にふさわしく新緑の木々に囲まれた会場でした。しかし、快晴すぎて、昨日まで4月であったのに30℃に迫ろうかという真夏の暑さ。開会式では吉田理事長が「TTCのスタッフは救急法を習っていますので、もし熱中症になっても救命できるようにしているのでご安心を(笑)」との一言が…。この天気だったので記憶に残りましたね。
開会式後のご夫妻との記念撮影
その後、恒例の理事長ご夫妻とのヴァン・ヴェール横断幕前での記念撮影を行い、すぐに初戦に。中農キャプテンのくじ運がとてもよく、お相手はなんと第2シード。前夜の作戦会議(in居酒屋)では早く帰ってきたという恥ずかしい戦績報告を津幡に持帰らないようにしようとメンバーで誓ったのですが、よしこうなったらコンソレーション優勝を!と一致団結したのでありました。とはいっても、そこは前田御大。D1から津幡町40年の歴史を背景に全力で勝負し、惜しくも4-6。D2はあっさり負けてしまい(スコアは黙秘)、予想通り早々とコンソレーション裏街道決定に。そうそう、この初戦はTTC運営事務局の取り計らいか、皆さんに注目を浴びる本部テント前のセンターコートでの進行でありました。
D1(優勝チームに善戦)
D2(相手強いな〜と感心しているところ)
D3(勝ちました)
なんと今年は1975年ウィンブルドンダブルス優勝の吉田和子さんも車いすテニスとのニューミックスチームにてプレーされていました(高橋所長と長塚コーチも同チーム)。昨日の国枝選手に続き、和子さんのプレーまで見ることが出来るとは今年はとてもラッキーな遠征です。自チームを応援しつつ反対コートにも見学にいき、時折みせる鋭い打球に「おぉー!」とうなっていました。
クラブハウスには若かりし沢松和子さん
ニューミックスチームもコンソレ街道に
お昼になったら試合を一斉に止めてランチタイム。津幡チームは最前列の特等席にて吉田理事長がご同席頂くというTTCのご配慮にいつもながら恐悦至極の思いです。このランチにはミニコンサートがあり、今年はチェロの大竹山コーチとその先生による2重奏。新緑をバックに音楽で優雅な落ち着いた一時を過ごせば、テニスは勝ち負けにこだわらずに楽しもうという気持ちにもなります。このTTCのテニスに力を注ぎながら、同時に庭園のような環境を整え、音楽を楽しむことを忘れないという気品あふれる文化は参加する度に“素晴らしい”と感服するものです。
ランチ風景を撮影中、コートの方を見るとコーチに左右前後にボールを手出しされて、チェアワークの振り回し地味練をしている車いす選手が!よく見ると昨日に続いて国枝選手ではありませんか!!ランチタイム後のコンソレ初戦再開、そして2回戦(コンソレ準決勝)を意外にも危なげなく勝ち進んだところで確認すると国枝選手の練習がちょうど終わって帰り支度に!昨日調子よく1人だけ抜けがけで試合後の国枝さんに写真を撮って頂いた田中妻のつたないツテを頼って恐る恐る声をかけると疲れた表情一つ見せずに満面の笑みで「いいですよ~一緒に撮りましょう」と。更に写真だけでなく、中農キャプテンがひそかに国枝選手に会えるかもと用意周到にサインペンを忍ばせており、皆で思い思いの物にサインをしてもらったのでした。津幡から参加の旨を伝えるとなんと国枝さんは我ら津幡町にご親戚がいらっしゃるというご縁があることも判り、とにかく爽やかな笑顔に私たちは大ファンになりました。
ちなみにデジカメに残る撮影時間は振り回し練習の写真が13:13、私たちとの記念撮影が16:06、つまり3時間練習した後だったんですね。練習内容も(アマチュア壮年プレーヤーの私たちからすれば)ハードでしたし、本当は練習後で大変お疲れだったところ、気持ちよいご対応をして頂きありがとうございました!!
新緑に囲まれたテニスコート(車いす選手は国枝さん)
まだご報告したいことがあります。高橋所長からご紹介を受けたのですが、近年TTCでは近隣の子供たちを預かり、現代の子供たちに少し失われている遊ぶための空間・時間・仲間を提供して昔のように外で遊んで豊かな心を育てようという「遊育くらぶ」という支援プロジェクトを行っています。当日も何気に見渡すと子供たちがコートの周りをうろうろと。緑豊かなコートの周りを仲間で歩いたり、かけっこしたり、砂場で遊んだり、TTCスタッフとバスケをしたり、テニスに限らず色んなことで遊んでいました。子供は一つのことには集中せずに次々と遊ぶ内容を変えているので、なかなか観察するのも楽しかったです。そして、こういうことも一歩先を進んでいくTTCの新たな文化になっていくんだな~と改めて素晴らしい環境と感心致しました。
そうこうしているうちにあっという間に夕方となり、朝一番のドロー抽選から誓っていたコンソレ決勝戦に!お相手はあの和子さんご参加のニューミックスチームを接戦の上に勝ち上がってきた女性だけのチーム。その最終戦も全戦勝利、最後は前田・田中の津幡女性ペアが見事に有終の美を飾ってくれました。そして本戦の方も少し遅れて終わりそうだったので、シャワーにはいかずに見ていると、初戦で私たちが惜敗した第2シードが最終対戦の女性ペアが男性ペアを破っての歓喜の優勝をしていました。そのチームが初戦の津幡が一番きつかった〜なんて言ってくれていたみたいでなんだか嬉しい。
西日を浴びながらのコンソレ決勝戦
最後の対戦は女性ダブルスの戦いに見事勝利
そして決勝戦終了後に閉会式を行い、最後まで残ったチームだけに特権がある開会式に続く吉田夫妻との記念撮影。これで津幡に最後まで残ったぞと胸を張って帰れるというものです。しかし、すでに18時を回っており、慌ててシャワーを浴びに。駐車場に出ると理事長をはじめTTC理事・スタッフ総出のお見送りを頂きまして、次の出会いをお約束してなんとか暗くなる前に岐路につきました。
ここまでが遠征日記ですが、結構長くなってしまいましたね。今年ならではのサプライズな出来事(和子さんプレーや国枝さん練習など)やハプニング(往路のルートミス)もありましたが、TTCというクラブがとても魅力的であるということです。どうでしょう。まだ行ったことがない津幡の皆さん、来年以降も遠征予定ですので、是非参加してみませんか?きっと思い出に残る楽しい旅になりますよ。
(参考)
■2006年遠征時の紀行文(40th記念誌サイトに転記済)
■2012年 現体制(吉本協会長)になって初のTTC遠征アルバム