休みだ!遊ぼうテニス詰め合わせ
問谷さん。毎年,5月の連休はToiyaTennis Festa です。問谷さんは1997年3月に,有明テニスコートで行われたテニス指導者研修会に参加していて不慮の事故でお亡くなりになりましたね。問谷さんを偲んで,その年の5月の連休に「休みだ!遊ぼうテニス詰め合わせ」という大会を開きました。問谷さんが尊敬して止まない横山良治さん(当時の石川県テニス協会理事長)や富山商船の留岡正先生(故人,当時の北信越テニス協会理事長)など,問谷さんを慕う方々が大勢集まってくれました。国体選手同士の対戦や,4ゲームずつの勝ち抜き戦など,誰でも参加できる催しにしました。問谷さんはいつもYou遊オープンの店長だったので,焼き鳥や焼きそばのお店も出店しました。このときは,問谷さんも天国から降りてきて,参加してくれたみなさんと話をしたいだろうなあと思いました。そうそう,この追悼大会は問谷さんのペンネームの安見田遊望にちなんで名付けられたものであることも,みなさんに伝えておかなければなりませんね。
Toiya Tennis Festa
問谷さん。休みだ!遊ぼうテニス詰め合わせから1年。何か問谷さんを偲ぶテニス大会をしようと始まったのが Toiya Tennis Festa です。問谷さんは自分の名前のついたテニス大会ができると聞けば,きっと頭をかきながら「弱ったな」と言ったでしょうね。その大会も今年で第21回を迎えました。ということは問谷さんが亡くなってから21年の歳月が流れたことを意味します。その間,津幡町テニス協会の人たちは,ジュニアの育成のための大会,誰でも楽しめるミックスダブルス大会を開き続けることによって,問谷さんのテニスに対する情熱を脈々と受け継ついでいっていますよ。
車いすテニス大会
問谷さん。Toiya Tennis Festa の種目には,もう一つ,車いすテニス大会もあります。ちょうど Toiya Tennis Festa の話が持ち上がった頃,石川県テニス協会では,山岸さん,横山さん,前田さん,女性では辻さんが中心となって,車いすテニス協会を石川県テニス協会の一組織としようという話が進んでいたそうです。それと並行して,津幡でも車いすテニス協会のために何かお役に立てないかという機運が生まれていました。たぶん,隠れ津幡リアンの山田博人さん(故人)の熱意に支えられたこともあったのではないかと思います。
ジュニアの選手たちに車いすテニスの選手たちが頑張っているのを見てもらうことは大変な励みになるに違いありません。また,ジュニアはつねに大人たちの支援を受けているわけですが,車いす大会のボールパーソンを務めることによって,子どもたちがみなさんの役に立つという得難い経験をすることができます。そのようは話し合いを経て,大会の中から収益金3万円を車いすテニス協会のために寄付しようという提案とともに,車いすテニス協会長の飯田さんと話がまとまりました。こうして,第2回大会から車いすテニスが大会種目として加わることになりました。どうです,問谷さん。ジュニアと車いすテニスの組み合わせ。これには「さすがあ」と思うでしょう.
以上は,名誉会長の前田さんに聞いた話です。
雨にも負けず,風にも負けず
問谷さん。今年の連休はまさに春の嵐のなかで行われました初日と2日目は朝からの激しい雨。大会の開始は2時間ほど遅れましたが,雨が止んでもテニスコートは一面の大きな水溜まりです。これはもうコートの「ぞうきんがけ」をするしかありません。そのとき,誰が言うともなく,大会に参加しているミックスダブルスやジュニアの選手たち,ジュニアの保護者の方々が積極的に協力してくれたことは,言葉にならないくらい嬉しく,本当に助かりました。絞ったタオルを植え込みの上に干したとき,まるで鯉のぼりのようでした。
ハードコートが全盛の時代には「ぞうきんがけ」は当たり前の光景でしたが,人工芝が普及した現在では他ではほとんど見られなくなりました。第1回Toiya Tennis Festa は「さようならハードコート」と銘打った大会でしたが,すると,津幡町の人工芝コートは20年の歳月を経ているということになります。いまや水はけも悪くなり,メンテナンスの時期が来ているのでしょうね。
危ない場面
問谷さん。今回の大会では危ない場面もありました。車いすテニス大会のゲートの入り口に立ててあった簡易テントが一瞬の突風で吹き飛んだのです。幸いにして大事には至りませんでしたが,そこに車いすの選手たちやボールパーソン,運営の方々が大けがをするという事態も起こりえました。本部のテントは突風に備えてロープで柱に固定したり重しをつけるなどの対策をしていましたが,車いすテニス大会の方はテントが小さなこともあって,やや慎重さが欠けていたのではないかと反省しています。ひょっとしたら,問谷さん,あなたが天国から助けてくれたのではありませんか。もしそうだとしたら,これからもずっと見守っていてくださいね。
それにしても,車いすテニスの選手たちが,雨や風,強い日差しなどをよける設備が全くないことには改めて驚きました。健常者なら,いざとなれば体育館横のひさしの中に逃げ込むことができ,日差しを避けた本部テントから試合の鑑賞をすることもできます。しかし,車いすではそのどちらも叶いません。花壇の一部に屋根をつけるとか,体育館に向かう道をつけるとか,本部に上る階段の横にスロープをつけるなどの配慮が欲しいと思いました。
ミックスダブルスに参加してくれた大西さんとお話ししました
問谷さん。第1回からずっとミックスダブルスに参加し続けてくれている大西保さんと,久しぶりにお話ししました。途中何回か抜けたこともあるそうですが,20年を超える長い間,5月の連休に津幡の大会のことを考えてくれていたんだなあと思うと,感謝に堪えません。第1回大会のとき,強豪である大西さんにウッドのノーマルラケットを使ってもらったことも良く覚えておられました。大西さんは「津幡の大会にはいつも温かさを感じます」といってくださいました。
実をいうと,ジュニア選手の参加が年々増加していくなか,参加者の少ないミックスダブルスは種目から外してもいいかな,というような声もありました。それに対して,吉本協会長は「トイヤという名前がついている限り,誰でも参加できるミックスダブル大会を外すわけにはいきません」と答えました。問谷さん,あなたはもう津幡町テニス協会のレジェンドになっていますよ。
大会は斎藤昌宏・水上和代ペア,準優勝は関戸由喜子・大和克也ペア,第3位は大西保・大西由里江ペア,第4位は樽部政一・上島奈美ペアでした。
第3者の目には,コンソレーショ優勝して思いがけず果物をゲットした常本綾乃さんの笑顔が印象に残りました。頑張って良かったね。
車いすテニス大会には新しい風が
問谷さん。車いすテニスの大会には若い選手が2名加わりました。今年はコートが湿って動きにくい上に,大風でボールコントロールがままなりません。この風は他の種目にも大きな影響を及ぼしますが,バウンドしたボールが逃げていったり戻ってしまったりする状況では,車いすの2バウンドで打てるというメリットが生かせないのです。本部では,もう中止は仕方ないかという意見も出ましたが,とにかく,選手に集まってもらって意見を聞こうということになりました。
驚いたことに,選手の中には中止という選択肢はどこにもありませんでした。若い選手の貴重な試合の機会はどんなことがあってもなくさないようにしたいという意志を感じました。聞いてみると,車いすテニスの大会は石川県内ではもう Toiya Tennis Festa しかないそうです。
その若い選手は笹島勇希君(右)と清水大葵君(左)です。
この悪条件にも関わらず,決勝戦の梅沢ゆとりさんと,笹島湧希君との戦いはタイブレークに突入する大接戦となり,若さとパワーに勝る笹島君が絶妙のテクニックを誇る梅沢さんを押し切った形になりました。第3位は清水大葵君,第4位は大脇佳代さんでした。
第3位の清水君はなかなか練習ができる環境が整わないで苦労しているとのことでした。それを聞いた吉本会長は即座に「じゃあ,協会員の練習に参加したら」と提案しました。津幡町テニス協会のみなさんは,間違いなく,清水君を快く迎えてくれるでしょう。前田さんと問谷さんが手塩にかけて育てた協会は,これほど懐の深い人たちに守られていますよ。
さて,ジュニア大会ですが
問谷さん。この大会のメインイベントはもちろんジュニアの大会ですね。毎年のように参加人数が増えています。今年はU10男子33名,女子17名,U12男子77名,女子36名,U14男子44名,女子29名で,合計236名を数えました。県内の主要な選手はもちろん,愛知県や長野県からも参加する大きな大会に成長しました。
これだけの大会を運営するのはとても大変です。第1日目はU12とU14の大会でしたが,消化をするために15ラウンドが必要となります。進行を担当する中山さん,斎藤さんは,さらに,雨の対応に迫られることになりました。消化しきれない試合は5日に延期することとなりましたが,その場合にはコートの確保とロービングアンパイアへの依頼が必要となります。
問谷さんもこんなに大変な大会になるとは予想できなかったでしょう。参加した選手のレベルを見たらもっとビックリしますよ。でも,問谷さんなら,彼らのレベルが上がったということよりも,テニスを通して,逆境にも諦めない心を育んだり,お世話になったコーチや保護者の方,大会を運営してくれるスタッフの方への感謝の気持ちが生まれていることを嬉しく感じるでしょうね。
今年は風がボールを曲げたり,ナイスショットをコートの外に放り出したりしました。簡単にいえば運が左右した試合もあったでしょう。しかし,問谷さんなら,そういう風を味方につけ,運を呼び寄せることも実力のうちだといったでしょうか。それは僕たちには想像することしかできません。今回の大会に関してはディレクターの中山さんに総括をしていただきました。
「今大会、これまでにない多数の参加者、そして気まぐれな天候の中、ジュニアコーチ、協会員の懸命なご協力に対し、本当に感謝申し上げます。
私が担当した中、悪天候のため初めて3日間の開催となりましたが、何とか無事終了したこと、ありがとうございました。試合参加の方々からも津幡テニス協会の団結力は素晴らしい(幾度の水浸しコートを協会員、参加ジュニア、ジュニア父兄が協力し水取り整備)とのお声もありました。また、子供達のウィナーズスピーチの中でも同様(自ら参加の水取り)な内容がきかれたこと、今大会の与える影響、そして色々な意味で経験、記憶に残る全員参加の素晴らしい大会であったと振り返ります。これまでにない大変な運営ではありましたが、他のオープン大会含め継続していくことが何より不可欠と考えます。これからも協会員皆さまのご協力とご参加が未来の協会の支えと進化に繋がると確信しておりますので、よろしくお願い申し上げます。」
最後に成績を添えて報告とします。
U10男子 優勝 森下 怜,準優勝 竹内 聡,第3位 井田結斗,第4位 北市誠悟
U10女子 優勝 前田恵椛,準優勝 濱崎ちはる,第3位 大西唯菜,第4位 小坂音羽
U12男子 優勝 宮岸亮太朗,準優勝 大西陽也,第3位 市川涼太,第4位 松根拓希
U12女子 優勝 林優実奈,準優勝 石田紗矢,第3位 坂田桃花,第4位 北村海遥
U14男子 優勝 谷口和輝,準優勝 高崎昊大,第3位 宮前太一,第4位 大野蒼真
U14女子 優勝 町田愛理亜,準優勝 尾山倭子,第3位 亀田菜月,第4位 前田星佳